接客業を営んでいる親戚が高島さん一人であれば今後働き手にもなるし引き取ってもよいと言ったのだが、彼女は幼いきょうだい達のみが施設に行くことを嫌がり、自分も一緒に施設に行くことを選んだ。

本当は修学旅行も行かないで家事やきょうだいの世話がしたかったのだけれど、お母さんになかば無理矢理送り出されたとのことだった。

そんな状況を想像することが出来なくてどんな言葉をかけたらいいのかわからなかった。小説に出てくる悲運なヒロインにありそうな設定みたいに思えてしまって、クラスメイトがそのような状況なのだと知っても現実味を感じなかった。

家族が皆元気なことや一緒に暮らせることは当たり前だと思っていてそれがいかに幸せなことなのかなんて考えたこともなかったのだ。