青色交差点

すると先頭で登りきった男子トリオのリーダー格で実質この班を率いている須藤優人(すどうゆうと)くんが戻ってきた。

彼は時事問題にすごく詳しくて皆に『じじ』と呼ばれていたけれど特に成績がよいわけではなかった。中学生男子とは思えない落ち着いた性格で男子の中では比較的話しやすいタイプだった。

須藤くんは私達を見ると腕組みをしバリトンボイスで『しょうがないなぁ。』とその顔に書いてあるのと同じ言葉をこぼした。そして『はい。』と右手を差し出してくる。

思春期の男子が到底しそうにない行動に驚く。躊躇いもあったが後ろに高島さんがいることもあり思いきって彼の手に掴まると、ぐいっと引き上げてくれた。男子の力の強さに驚く。

あまりにも自然に私達を助けてくれた須藤くんは何事もなかったようにスッと背中を向け皆の方に戻っていく。

なんだか呆気にとられてしまい言うのが遅れた『ありがとう。』が彼に届いたかはわからない。