修学旅行当日。バスに乗車早々、まだバスガイドさんが話し始める前から私は窓際の席の肘掛けに肘を置いてその上に顔を置き目を閉じた。

梅雨の晴れ間ってやつなのか梅雨明けしたのかはわからないけれど無駄に快晴だった。眩しいのは嫌だけれど隣の席の佐原颯太(さはらそうた)くんが景色を見たいかもしれないからカーテンは開けておく。彼は同じ班になった3人の中でも苦手意識がある男子だった。気難しそうで何を考えているのか全くわからないのだ。

後はトイレ休憩までこのまま寝たふりをして一人だけの世界にいればいい。そう思っているとふいに頭上に気配を感じた。