「なに?」
「なんで俺のこと好きになったんだよ」
「なんでって……」
向かい合うダイニングテーブルの幅が、今更ながら狭いように思えた。
いや、だって……同居の話を聞いてから、好きって言う気持ちを表に出さないように接してきたから、今更好きかどうこう蒸し返されたら照れる。
「俺らあんま話してなかったよな」
「むしろ、よくそんな級友の所に家出しようと思ったね」
「あぁ、それは――お前の親父に声を掛けられたんだよ」
「お父さん?」
最上くんの話はこうらしい。夜な夜な家を飛び出していると、ちょうどいつも私のお父さんの帰宅時間の重なっていたらしく。何度も最上くんの姿を目にしたお父さんが、気になって声をかけたという事だった。
「へぇ……それで、ウチが空いてるからおいでって?」
「またウチに遊びにおいでって、そう言われた」
「まるまる引っ越してこい、とは言ってないんじゃない?」



