岳斗くんと過ごした甘い夜 (短)





「じゃ、いただきまーす」



パンッと二人、手を合わせる。目の前には、コンビニのお弁当。



「ごめんね、今日ウチ両親いなくて……って、なんでいない日にわざわざ引っ越ししてきたの?」

「いないなんて知らなかったから」

「じゃあウチの親が悪いね」



そう言って、インスタントの味噌汁をすする。うん、味は濃いけどアサリのいい出汁が出てる。

すると最上くん、私がアサリの殻をよけているのを見て変な顔をした。



「気になる顔してるね」

「いや、わざわざ面倒なもんよく買ったなって思って」

「面倒?あぁ、この殻のこと?」



最上くんはコクンと頷く。そういえばさっきコンビニで私が味噌汁を手に取った時から、最上くんはこんな顔をしていた。



「アサリは好きなの?」

「好き。殻が嫌いなだけ」

「殻は罪深いねぇ……」



なんてしみじみ思っていると、最上くんが「なぁ」と私を見た。