岳斗くんと過ごした甘い夜 (短)



「ね、ねえ、なんで家出なの?っていうか、家出の荷物の量じゃなくない!?

なんで引っ越し屋さん使ってるの!?

家具家電までウチに持ってきてるの!?」



驚きと興奮から、私のテンションはかなり上がっていた。いや、錯乱状態に近いといっても過言ではないと思う。

最上くんは、私が通う高校の王子様的存在で、勉強も運動も顔もスタイルも、向かうところ敵なしのモテ男。

そんな最上くんと同じクラス、しかも隣の席になれた日から、私の心は踊りに踊っていた。

その勢い余って、放課後に人気のない校舎裏でわざわざ告白したのに……



「行っちゃったね、引っ越し屋さん」

「な、さすが早いな手慣れてるわ」



今は、どんな時間でも二人きりになれるという、パラダイスな環境――