「春陽」
「なに、がっくん」
呼ばれたので、見上げる。すると、とんでもない距離にがっくんの顔があった。
電気を消しておいてよかったと、私は過去の自分を褒める。
「がっくん、近くで見ても顔が小さいんだね」
「春陽も小せぇよ」
「目の近くに手をあてると、まつ毛でバシバシ攻撃されるほどまつ毛も長い」
「まつ毛同士で戦うか?」
「え、嫌だよ」
即答すると、がっくんはふてくされた。
「そんなにバトルしたかったの?」
がっくんにギュっとしながら、私は尋ねる。
するとがっくんは、しばらく沈黙した後に、私を持ち上げて自分の体の上に乗せた。
「わ、ひゃあ!」
急に体が動くからビックリした……しかもこの態勢、まるで私ががっくんを押し倒してるみたいじゃん。
「がっくん」と呼ぶ声が確実に聞こえているがっくんは、一切返事をしない。
だけど、かと思えば、小さな声でこう言った。
「バトルじゃねーよ。春陽と、キスがしたかったんだよ」
「……へ?」
「……鈍い奴」



