「ひっ……がっくん、それは怖すぎるよ」
「いや、お前の脳内お花畑の方がこえーよ。なんでこんな深夜に短パンなんだよ、ありえねーだろ」
「まだ21時だよ」
「おこちゃまには深夜だろ。お菓子がほしいなんていうおこちゃまは」
「む」
眉間にシワを寄せた私の頭を、がっくんがポンポンと撫でる。
「そう怒るなって。ボディーガードしてやるから」
「え、本当?」
「ジュース一本おごってくれるならな」
「世知辛い」
でも、ついてきてくれるんだ。途端に嬉しくなって夜の散歩が一気に楽しい時間になった。
「ねえ、蛍って飛んでないの?」
「この喧騒の中、飛んでると思うのか」
「いや、川が近くにないとダメだよねぇ」
周りは道路やビルや、とにかく店が賑やかに軒を連ねている。ほろ酔いのサラリーマンが指をさして次のお店を目指している。



