「なかった、諦めきれない」
「こういう奴いるよな、無駄に執着心がある骨太の奴」
がっくんは興味なしでテレビを見ている。「最近はつまんねー番組増えたよなぁ」とテレビ半分、スマホ半分だった。
「じゃあさ、またコンビニ行かない?」
「何が楽しくて一日に二回も行かないといけねーんだよ、一人でいけよ」
「……分かった、一人で行くよ」
さすがについてきてはくれないか。がっくんたくさん食べてたし、もう眠いよね。
適当に服を着替えて、玄関の扉を開ける。夏特有のこもった熱が、一気に全身を包んだ。
「うっわ、あっつ……こりゃ布の少ない服を着てきて正解だなぁ」
そしてカギをかけようとドアに手をかざした、その時――
「お前、バカなの?」
中からがっくんの手が出てきて、ドアを閉めるのを阻止した。



