「私もお昼休みに食べきれなかったから、このまま持って帰るわ」
再びカートを押そうとしたところ、急に腰に手を当て俯いた。
「大丈夫?」
「え、えぇ。最近また身体の調子が悪くてね。意外と力使うから、知らない間に腰やっちゃうのよ」
長年清掃員を勤めている彼女だが、ここ数年腰を痛めることが何度かある。
どうして清掃の仕事に拘るのかわからないが、これも彼女の人生。
俺が口を出すことは今までなかった。
「車で来てたら乗せてくからさ。しばらく無理するなよ」
「大丈夫よ〜。私なんかが恭ちゃんの車に乗ってたらいつまで経っても恭ちゃん結婚できなさそうだもの」
「いや、それは関係ないと…」
「本当にしんどくなったらお願いするかもしれないわ。その時はよろしくね」
腰に手を当てたまま、顔だけ無理矢理表情を作ったように思えた。
心配になりながらも、それ以上は何も言わなかった。



