エレベーターから始まる恋

正直言って、俺は彼女が苦手だ。
仕事の出来は申し分ないのだが、甘ったるい声を出されるのがどうも気に食わない。
何かと理由をつけて食事に誘われたりもする。

同僚には"気があるんだ"と言われるが、俺には彼女に対してそう言った感情が一切湧かない。
それに、昼飯くらい一人でのんびり過ごしたい。
だが、断る理由もなく、誘われるがまま二人で過ごすことが多くなった。


「郡司さん、最近やたらと1階でキョロキョロしてますけど、誰か探してらっしゃるんですか?」

江藤はパスタを上品に口に運ぶ。
彼女とここに来るの、一体何回目だろうか。

「そうか?別にそういうつもりはなかったけど」

まさか、同じビルで働く、どこの社員かもわからない年下の女性が気になっているなんて死んでも言えない。

「そう、ですか…てっきり綺麗な女性でもいたのかと」

頬を膨らます彼女に苦笑いをする。
可愛いけど、あざといのは好みではない。

適当に話題を逸らし、何とかその場を乗り切った。