扉がゆっくりと開き、よく知る人物の顔が鮮明になる。
「あ…お疲れ様です」
「お疲れ様です」
私の挨拶にいつもと変わらないトーンで返事をし、斜め後ろに立つ。
挨拶以外の会話はない。
この前初めてフルネームを知ることができたけれど、それ以上何か進展があったわけでもなかった。
静寂を保ったまま1階に到着し、ボタン前に立っていた私は開くボタンを押して先に降りるよう促した。
「どうぞ」
彼は軽く会釈をして私の横を通り過ぎ、続いて私もエレベーターから降りる。
すると、数歩先を歩いていた彼は足を止め、ゆっくりと振り返った。
「あの」
「は、はい」
彼は胸ポケットを漁り、あるものを差し出す。
「もし、よかったら…」
それは見覚えのある名刺だった。
その行動の意図が読めず、首を傾げ背の高い彼の顔を見上げた。
「あの、郡司さん。名刺は先日頂きましたけど…」
すると彼は目線を逸らし、後頭部をクシャッと掻き乱し口を開いた。
「あ…お疲れ様です」
「お疲れ様です」
私の挨拶にいつもと変わらないトーンで返事をし、斜め後ろに立つ。
挨拶以外の会話はない。
この前初めてフルネームを知ることができたけれど、それ以上何か進展があったわけでもなかった。
静寂を保ったまま1階に到着し、ボタン前に立っていた私は開くボタンを押して先に降りるよう促した。
「どうぞ」
彼は軽く会釈をして私の横を通り過ぎ、続いて私もエレベーターから降りる。
すると、数歩先を歩いていた彼は足を止め、ゆっくりと振り返った。
「あの」
「は、はい」
彼は胸ポケットを漁り、あるものを差し出す。
「もし、よかったら…」
それは見覚えのある名刺だった。
その行動の意図が読めず、首を傾げ背の高い彼の顔を見上げた。
「あの、郡司さん。名刺は先日頂きましたけど…」
すると彼は目線を逸らし、後頭部をクシャッと掻き乱し口を開いた。



