エレベーターから始まる恋

私たちよりも先に降りたグンジさんは、あの女性と肩を並ばせ出口へと向かっていく。
一緒にお昼食べるのかな?もしかして、彼女?

心が少しずつ曇っていく。
そうだよね、あれだけかっこよければ彼女くらいいるよね。
エレベーターで乗り合わせるだけでドキドキして、名前を知ったくらいで一歩前進だなんて喜んで、貰った栄養ドリンクを大切に飾ったりなんかしちゃって。

あぁ、恥ずかしいな。一人で盛り上がってたんだ。

「坂本さん?どうした?」

いけないいけない、今は大橋さんといるんだ。
慌てて笑顔を作って顔を上げる。

「いえ、なんでもないです!行きましょ!」

グンジさんたちはビルを出て左手に曲がったはず。
鉢合わせたくない思いで反対の道先にある定食屋に入った。

他愛もない会話をして過ごす。
テンポ良く会話が進んでいるが、私は心ここに在らずだった。