あなたの存在を知ったのは6月頃だっただろうか、ちょうど梅雨の時期だったような気がする。


出会い系アプリに染まっていた私は、こんなアプリに本当に恋愛をしたい人なんているはずがないと毎日のようにマッチングした人と遊んで過ごしていた。

本当にいろんな人がいた。

でも、全員一度きりの関係だった。

また会いたいなんて思う人は誰一人いなかった。



どうせ今回もそうなるんだろう、そう思ってマッチングした人。

何かを食べている写真。

誰かに撮ってもらったのだろうか。

イケてる自分を見せられる唯一のアイテムであるアイコンに自然体の自分?

なんだこの人。

でも自然体にしてはちょっと顔良いんじゃない?


これが、第一印象だった。


マッチングしてからはすぐに話が弾んで、お互いのことや過去の恋愛についての話をした。

いつもなら男はすぐに会いたいと言ってくるから、こんな風に楽しく話ができることが新鮮で仕方なかった。

「会いたい」と言われることの方が多かった私は、今まで自分から誘うことはほとんどなかった。

だけどあなたと話すことが本当に楽しくて幸せで、気付けば自分から「会いたい」と言っていた。

あなたは私より5歳も年上だったけど、そんなことはどうでもよかった。


ただ、あなたに会いたかった。