今の会社に入社して5年。
仕事の成績はいつも上位で、それなりに成果も上げてきた。
上司の受けも悪くなく、出世間違いなしの順風満帆を軽快に走っていたこの俺、坂木鈴馬27歳は、どこでどう間違えたのか…
危ない奴に目を付けられてしまった。


「や、やめ…ん、あっ…」

「鈴さん…甘い…
俺、鈴さんともっと…もっと、キスしたいです…」

俺をソファーに押さえつけ、無理矢理キスしてきた男の名は、風音真琴。

サモエドのように人懐こく近づいてきたかと思えば、今はこうしてギラギラした眼を持つ白虎のように牙を向ける油断ならない奴だ。

可愛らしい大型犬かと思って油断した…
騙された!
てか、犬科ですらねー!

「こ、断る…いい加減…は、なれろ…あっ…やっ…ふぅん…ん…」

「ああ、なんて甘いだろ…ねえ、鈴さん、なんで鈴さんはそんなに甘いんですか?」

「知るか!」