トントン 誰かが肩を叩いた。 フッと目を開けると美しい顔が覗いていた。 「あの、ここ降りる駅じゃないですか?」 同じ高校の制服を纏ったその青年は眠ってしまった麦を起こしてくれた。 麦は驚きとありがたい気持ちで言葉が詰まり、 「あっ、りがとう、ございま、す、」 絞り出すような形でお礼を言った。 その美しい青年はフッと口角を上げ先に降りて行った。