『入院したって』
¨入院!誰が入院したの?まさか… まゆちゃん?¨
呆然として力が抜けた。
ついていい嘘と悪い嘘があると思う。
どんな想いで自分をせめて悩んだか
あの時
無理して笑うまゆから痛いほど伝わって来た。
空港からさらった俺が言える立場じゃない事は解ってる。
でも……これはないよ
おばさん
留守電に入っていたまゆの母親の声を思い出して
悔しくて唇をかみしめる。
¨どうしたんですか?光彦さん?¨
『あぁ…』
残酷な裏切りを
何て説明したらいいか解らないまま、
少しでも早くまゆを安心させたくて通話ボタンを押した。
さっき別れたばっかりなのに
どうしよう
もう逢いたくてしかたないよ
お前のためなら
俺は強くなれる
まゆ
見上げた夏空にため息をひとつついて心を静める。
まだまゆが真実を知らない事をただただ願いながら
じっと携帯を握りしめていた。

