キキ──ッ
゛俺、ここで待ってますから。光彦さん、行って下さい。゛
『ありがと!』
急いで車を降りてロビーへ向かう。
夕方の病院は外来も終わっていてほとんど人がいなかった。
『今日入院した橘の家族の者ですが、病室を…』
「お名前フルネームでお願いします。」
受付の女性はカチャカチャとパソコンに名前を入力して首をかしげた。
「当院にはそのような方はいらっしゃいませんが」
『えっ…もう一度お願いします!』
「はい。ちょっとお待ちください」
もう一度調べてもらっても返って来る返事は同じだった。
まさか……?!
嫌な予感が胸をよぎって、病院を出て携帯を開いた。
¨もしもし。まゆちゃんつかまった?あれ。聞いてる?光彦?¨
予感は的中──
自宅にかけた電話に出たのはいつもと変わらない元気な声のおふくろだった。

