急いで戻ってタケシさんに迎えに来てもらう。



落ちつかない気持ちで



タケシさんのお母さんには、きちんとお礼を言えないままに宿を後にした。




『過労で倒れたって。たいした事ないみたい。大げさ過ぎだし。』




どこかへ電話した光にぃはそう言って淋しそうに笑った。



無理に笑顔作らなくていいよ。光にぃ。



過労と言うより心労だね



きっと…私達のせいだ




短い夢のような時間と引き換えの犠牲は大き過ぎて、心がついて行けない。



『ごめんな。まゆ』




謝る必要なんかないのに。



何度も何度も繰り返す光にぃの手を握ってあげる事しか出来ない自分が悔しかった。





゛例の事もあったから、悪いけどまゆちゃんには離れた所で降りてもらいます。いい?゛





事務的な口調のタケシさんに現実を感じて、短いピクニックは終わったんだと実感する。




『まゆは先帰ってて。おふくろの事解ったら連絡するから。一人で大丈夫か?』



「光にぃこそ。早くおばさんの所行ってあげて。ね」