『あ、タバコ忘れた。』



朝の太陽はずいぶん高くなって強い日差しに変わっていた。



おばさんにご飯のお礼も言いたいし。



しばらくまったりしていた私達は光にぃの一言で宿に戻る事にした。




『お部屋に帰ったらさっきの続きする?』



「もう!光にぃ!」



手を繋いで歩きながらじゃれあっていると



光にぃの携帯が地面に落ちて




「ピカピカしてるよ。」


『留守電。こんな時に誰だよ。』




ブツブツ言いながら携帯を耳にあてた光にぃの表情が固まった。




なんだか嫌な予感がして、ギュっと繋いでいた手に力が入る。




「光にぃ?」




光にぃは携帯を閉じながら真っ直ぐに私を見て言った。





「おふくろが倒れたって」




う…そ……



光彦ママが倒れた。



足が震えて立っているのがやっとだった。