背を向けて歩き出した途端に呼び止められて 「私、光彦さんに会いたくて、苦労してこの世界に入ったんです。」 『そう……なんだ』 思い詰めたような瑠美の声が静かな夜に響いて、何が言いたいのか解らずに、曖昧な笑顔を浮かべた。 「この事忘れないで下さいね。後、さっきの電話聴いてましたから。」 立ち上がりながらニコッと笑う瑠美を見て その笑顔にあるトゲのようなものを感じて、嫌な予感に包まれる。 「私やっぱり先に行ってます」