私を見て、私を愛して

彼氏に奥さんと子どもがいるはずがないでしょ、と呆れたように笑ってほしかった。

「京香、なんか言ってよ。言ってくれないと、あれが雄介さんってことになっちゃうじゃん。京香の彼氏が既婚者で、京香は不倫してるってことになっちゃうでしょ。」

ゆか子は話しながら泣いてしまいそうだった。

嫌な予感は以前からずっとしていた。

何か悩んでいる様子だったが、相談もできないようだった。

時折、寂しそうな目をすることがあった。

その原因がこのことのような気がして怖かった。

「……ごめん。」

「京香。」

ゆか子は縋るように京香を見た。

京香は指が白くなるほど両手を握りしめている。

「その人、雄介さんで合ってると思う。」

「ねぇ、なんで?なんで不倫なんて……」

信じられなかった。

信じたくなかった。

親友が不倫してるなんて。

「ゆか子にはわからないよ。」

京香が小さな声でつぶやいた。