会社の昼休み、ゆか子はカフェにいた。

わざわざカフェを訪れたのは、金曜の夜にメッセージを送った相手に会うためだ。

待ち人はまだ来ていない。

ゆか子は注文したアイスカフェオレを口に含む。

コーヒーの苦味とミルクの甘さがほのかに口の中に広がる。

冷たいカフェオレがゆか子の熱くなった体を冷やしてくれた。

お店の自動ドアが開き、友人の京香が小走りで近づいてきた。

急いでできたのだろう、息が上がっていた。

「ごめん!待った?」

「大丈夫だよ。」

息が上がったまま、ゆか子の前の席に座った。

京香は、ゆか子の前にあるカフェオレをちらりと見た。

「ランチもう注文した?」

ゆか子はまだカフェオレしか注文していない。

「まだだよ。京香が来てから注文しようと思ってた。」

「そっか、ありがとう。何食べる?お昼休み終わっちゃうから早速注文しよう。」

ふたりはカフェランチセットを注文した。

店員がお辞儀をして去っていく。

「それで?何があったの?」

京香がタイミングを見計らったように話を切り出した。

「まぁ、十中八九旦那のことでしょうけど。」

やはり京香にはわかっていたようだ。

ゆか子はあの日のことを思い出し、口を開いた。