私を見て、私を愛して

そのときは、ゆか子が豪華な手料理を振る舞った。

手巻き寿司、ステーキ、カニしゃぶ……気になった食材があれば、給料日に合わせてお取り寄せをしておくこともあった。

出前を頼み、うなぎやお寿司を食べたこともある。

お給料日はゆか子と洋樹のふたりにとって、大切な日だった。

お互いに1ヶ月の労働を労い合い、来月も頑張る活力にしていた。

(いい日だったよなぁ。毎月どんな美味しいものを食べようか考えるのも楽しかった。)

一緒に美味しいものを食べて、その感想を共有することができる。

そういう関係は尊いものだったと今更ながらに気づく。

(……もう一度、お祝いしたい。そして、これ美味しいね、今月も頑張ったね、って言い合いたい……そう言う関係に戻りたい。)

ゆか子は決心した。

必ずあの頃のようになってやる、と。

ゆか子は『旦那をガッツリ掴む作戦その2』の決行日を今月のお給料日にした。

「みてなさい。洋樹さんに思い出させて上げる。あの頃のラブラブで熱々な気持ちを。」

ゆか子の気持ちは燃えていた。