私を見て、私を愛して

家族3人の誕生日もしっかりと祝ってきた。

ただ、結婚記念日に関しては、祝うことができていなかった。

その日が結婚記念日だろうと、会社員である洋樹の仕事は関係ない。

記念日だろうと残業になる日はなる。

ゆか子は残業で帰りが遅い洋樹を待とうと思っていても、子育ての疲れでいつの間にか眠ってしまう。

だから、平日の結婚記念日のお祝いは諦めたのだ。

友也が生まれて3年。

今までの結婚記念日は全て平日だった。

(ちゃんとお祝いしたらよかったな。当日が無理なら、次の日とか休日にお祝いするっていう選択肢もあったはずなのに。)

ゆか子は忙しさを理由にして、気づかないうちに、洋樹との大切な日を蔑ろにしていたのかもしれない。

(……洋樹さん、もう記念日を忘れちゃってるってことはないよね?)

ゆか子は不安に襲われた。

過去の結婚記念日を思い返してみる。

友也が生まれる前は、ゆか子が料理を用意して洋樹の帰りを待ち、洋樹は花束を買って帰ってくるという流れができていた。

だが、最近はゆか子が料理を用意することも、洋樹が花束を買って帰ってくると言うことも無くなっていた。