私を見て、私を愛して

想定外におにぎりを食べる流れになったことに歓喜した。

友也はムスッとしながらも、おにぎりを口に含んだ。

「ともくん美味しいね。」

もぐもぐと口を動かし、おにぎりを食べる友也はとってもかわいい。

一口サイズのおにぎりを一つ食べるたびに、ぬいぐるみに目が向き、落ち着かなかった。

苦戦しながらも、なんとか完食させた。

早くも疲れることがあったが、今日の一番の目的は忘れていない。

洋樹に家でも綺麗な姿を見せて、新婚の頃の気持ちを思い出させることだ。

洋樹はまだ起きていない。

着飾った姿を見せる前に疲れてしまってはいけない。

ゆか子は疲れを吐き出すように長い息を吐いた。

よしっ、と声を出して気合を入れ直すと、食器を洗うためにキッチンに立った。

ごはん中は遊びたくて、うずうずしていた友也は、リビングの床にちょこんと座ってすっかりぬいぐるみ遊びに夢中になっている。

この隙に食器洗いを済ませてしまおうと、ゆか子はスポンジを手に取り、洗剤を染み込ませた。

どんどん食器を洗っていると、ガチャっという音が聞こえた。