私を見て、私を愛して

リビングに移動したゆか子だが、洋樹はいなかった。

きっと昨日の休日出勤の疲れで、まだ眠っているのだろう。

友也の朝食用に一口大の小さなおにぎりを作る。

友也の食べるものにはブームがあり、それ以外のものをほとんど受け付けなくなる。

最近の朝食のブームはおにぎりだ。おにぎりじゃないと食べてくれない。

おにぎりにするのが少し面倒くさいが、友也が食べてくれるなら頑張るしかない。

友也用のおにぎりを用意したあと、自分の朝食にスクランブルエッグとウインナー、サラダ、昨日近所のパン屋さんで購入しておいたクロワッサンを温め直した。

ゆか子は時計を見た。

この時間なら洋樹はまだ起きてこないだろう。

ゆか子はひとりで朝食を食べることにする。

友也が起きてくるまでに食べ終えておかないと、友也が起きてきたら自分の朝食どころではなくなってしまう。

椅子に座って、クロワッサンを一口かじった。

クロワッサンがサクッと音を立て、中からじゅわっとバターが染み出した。豊かなバターの香りが口の中に広がり、鼻から抜けていく。