私を見て、私を愛して

「なるほどねぇ。案外思い詰めてるわね。」

ゆか子が話し終えて京香を見ると、納得したように頷いていた。

「贅沢な悩みかもしれないけど……」

ゆか子は自分の悩みが贅沢なものだとわかっていたため、少し気まずかった。

「洋樹さんって明るくて優しいって印象だったのにね。」

京香の言葉にゆか子はため息をこぼした。

京香には結婚前に洋樹を紹介していて、何度か一緒に食事にも行っていた。

「今でも外ではそうだよ。家では違うだけで……」

なんとなく居心地が悪くて、言い訳がましくなってしまった。

「付き合う前にプロポーズしてきた人とは思えないわ。そんな人と付き合ったゆか子も信じられなかったけど。」

ゆか子は、変な人と付き合って結婚したという自覚があり、思わず苦い顔になった。

「うん。あのときの洋樹さんと付き合うなんて普通は考えないよね。」

「まぁ聞いてる分には面白かったけどね。漫画みたいで。」

京香はふふっ、と楽しそうに笑う。

笑われてゆか子はムキになってしまう。