ゆか子は京香に相談に乗ってもらうために、京香の大好きなバウムクーヘン専門店のスペシャルバウムクーヘンを買っていた。

ダイニングチェアに座っている京香の前に、食べやすい大きさにカットしたバウムクーヘンと紅茶の入ったカップを置き、ゆか子は京香の向かい側に腰を下ろした。

「あれ?洋樹さんと友也くんは?」

友也は京香に懐いており、京香のモテる女っぷりは友也にまで発揮されている。

「洋樹さんは休日出勤で、ともくんは実家が預かってくれた。」

「そっか。ふふふ、やっぱり重要な話なんだ。」

「なんで重要な話ってわかったの?」

「だってゆか子は基本的に受け身で、ゆか子から連絡してくることなんて珍しいし、しかも夜に連絡してくるなんて今までなかったでしょ。」

京香にはお見通しだったみたいだ。ゆか子は言葉に詰まった。

「で、何があったの?」

京香がバウムクーヘンを口に運びながら首をかしげた。

ゆか子は悩みを全て話した。

洋樹とすれ違いの生活が続いていること。

あらゆることがうまくいっているようで、うまくいっていないこと。

溜まりに溜まった不満を吐き出した。