私を見て、私を愛して

「どうしてそんな少しだけなの?それだと、ちょっとおかしいよ。だからこっちの方が自然。」

そう言うと、ゆか子の手をそっと握った。

(え、なに?……どうしよう久しぶりすぎて、かなり照れくさいかも……)

その行動にゆか子はドキッとして、洋樹の顔をこっそり見上げた。

前を向いていて洋樹の表情はわからない。

だが、手を繋いでから、全くこっちを見ない洋樹は照れているように見えた。

その様子は、付き合っていたときのことを思い出させるには十分で、ゆか子はなんだか照れ臭かった。

この日の水族館は人が多かった。

深海色のエリアを出るまで、ふたりはずっと手を繋いでいた。

薄暗いエリアを抜けると売店があった。

蛍光灯に照らされた売店の前に来ると、繋いでいた手はそっと解かれた。

(なんだかちょっと寂しいな。)

ゆか子はぬくもりが消えたことを残念に思いながらも、それを洋樹に悟られないように売店に意識を向けた。

売店にはぬいぐるみが所狭しと並んでいる。