私を見て、私を愛して

下町の食堂が悪いわけではない。

実際、ゆか子は食堂でランチをしてあまりのおいしさに感動したし、自分以外の人が作ってくれた料理はやっぱり美味しいと実感したのだ。

(でも絶対に秘密にするようなことじゃないわ。普通に行き先を教えてくれた方がよかった。)

せめて、ほんの少しでもヒントをくれれば、良い感じのお店に行くと勘違いしなかっただろう。

そして、もう少し場に合った服装にしたはずだ。

今日のゆか子の服装は明らかに場違いだった。

店主のおじさんは店に入ってきたゆか子を見て驚いていた。

ランチの行き先を教えてくれれば、TPOを考えて、おじさんをギョッとさせることもなかった。

(……この人、やっぱりズレてる。)

気持ちを落ち着けるために、長い息を吐き出した。

ゆか子の気持ちには全く気づかない洋樹がニコニコと笑いながら、チラッとゆか子を見た。

「やっぱり外でご飯食べるのいいよね。おいしいし、家で食べるよりも品数多くて最高だわ。」

(……それって、どう言う意味よ。)

洋樹の言葉が妙に気に触る。