私を見て、私を愛して

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友也を実家に送り届けたあと、ランチに連れてこられたのが、下町情緒あふれる地元の食堂といった雰囲気の『食堂タナカ』だった。

「満足した?良かったでしょ、ここ。」

車を運転をしながら洋樹がチラッと視線を向けて、話しかけてくる。

「おいしかったよ。」

「よかった。前に来たときに、美味しくてすごい感動してさ、ママも絶対に食べたら感動すると思ったんだ。」

おいしいものを食べて、ゆか子にも食べてほしいと思ってくれたのは嬉しかった。

だが、ゆか子にはどうしても理解できていないことがあった。

「どうして行き先は秘密だったの?」

今日のランチの行き先は教えてもらえなかった。

何度聞いても「良いところがあるから」としか言われなかった。

だからてっきり良い感じのお店に行くのだと思ったのだ。

洋樹は不思議そうな顔をした。

「その方がワクワクするかと思って。」

(なによそれ。)

食堂にランチを食べに行くことは秘密にするようなことだろうか。

(良いところに連れて行くって言われて、まさか行き先が食堂だと思わないじゃない!)