***
米の苗はそう簡単には見つからなくて、とうとうタイムリミットとなった。
「お願い! あと少しだけ! 1時間……いや、30分だけでも……!」
神頼みをするように手を擦り合わせるわたしを、みんなは苦い顔をして見た。
わがままを言っていると分かっていても、どうしても諦められない。
「公務は先まで決まっている。俺達のスケジュールを変えたら、他の者のシフトにまで影響が出る」
カウルは、ねばるわたしに、どうしたものかと頭を悩ませる。
「わかってる! わかってるの。でも、どうしても欲しい苗なの。夕暮れまでやったら今度こそ諦めるから!」
「暗くなったら森の中なんか歩けねぇよ。獣に襲われるのがオチだ。この辺じゃあ野営は出来ない。リクリエンツの領地との境目なんだ。俺たちゃ、無茶はできないんだよ」
デフもやれやれといった様子だ。
あまりにも聞き分けがないので、「やっぱりリア姫の我が儘は変わってないじゃないか」と誰かが舌打ちをした。
「―――あ……」
まずい。
ふっと我に返る。
これ以上の我が儘は、リアとしての立場を悪くしそうだった。
空を見上げると、オレンジが消えかかり、うっすらと藍色が浸食し始めている。すぐに暗くなるだろう。
「じゃ、じゃあ、今度はいつ来れる? 明後日とかは?」
「馬鹿いうな。そんな早く来れるか。……そうだな。一ヶ月後……くらいならなんとか」
「一ヶ月!」
そんなに待ったら季節が変わってしまう。
目当てのものを見つけたとしても、すぐに食べられるようになるわけじゃないんだ。
根付くかもわからない。来年まで育てても食べれない可能性の方が大きい。
それに、うかうかしているとすぐに冬が来てしまう。
日本と同じように育てるならば、冬の備蓄を目指して苗を植えるには、今がギリギリだった。
米の苗はそう簡単には見つからなくて、とうとうタイムリミットとなった。
「お願い! あと少しだけ! 1時間……いや、30分だけでも……!」
神頼みをするように手を擦り合わせるわたしを、みんなは苦い顔をして見た。
わがままを言っていると分かっていても、どうしても諦められない。
「公務は先まで決まっている。俺達のスケジュールを変えたら、他の者のシフトにまで影響が出る」
カウルは、ねばるわたしに、どうしたものかと頭を悩ませる。
「わかってる! わかってるの。でも、どうしても欲しい苗なの。夕暮れまでやったら今度こそ諦めるから!」
「暗くなったら森の中なんか歩けねぇよ。獣に襲われるのがオチだ。この辺じゃあ野営は出来ない。リクリエンツの領地との境目なんだ。俺たちゃ、無茶はできないんだよ」
デフもやれやれといった様子だ。
あまりにも聞き分けがないので、「やっぱりリア姫の我が儘は変わってないじゃないか」と誰かが舌打ちをした。
「―――あ……」
まずい。
ふっと我に返る。
これ以上の我が儘は、リアとしての立場を悪くしそうだった。
空を見上げると、オレンジが消えかかり、うっすらと藍色が浸食し始めている。すぐに暗くなるだろう。
「じゃ、じゃあ、今度はいつ来れる? 明後日とかは?」
「馬鹿いうな。そんな早く来れるか。……そうだな。一ヶ月後……くらいならなんとか」
「一ヶ月!」
そんなに待ったら季節が変わってしまう。
目当てのものを見つけたとしても、すぐに食べられるようになるわけじゃないんだ。
根付くかもわからない。来年まで育てても食べれない可能性の方が大きい。
それに、うかうかしているとすぐに冬が来てしまう。
日本と同じように育てるならば、冬の備蓄を目指して苗を植えるには、今がギリギリだった。



