処刑直前の姫に転生したみたいですが、料理家だったのでスローライフしながら国民の胃袋を掴んでいこうと思います。


準備が必要だったのは大量の油。

元々菜種油を使っていたので、プーリーに菜花があるのかと聞いたら菜の花畑があると言うではないか。
すぐにそこへ案内してもらい、菜の花の種を収穫すると、昨日一昨日と油の抽出に勤しんだわけだ。
菜種油は種をフライパンで煎って、砕いてから絞るだけ。工程はさほど難しくないが、大量となると根気がいる作業であった。


「塩とカボチャの甘みが良い感じだ」

感心しているおじさんに、わたしは頷く。

「これクセになるんですよ~」

みんな汗をたくさんかいたから、塩分が体にしみ渡るだろう。
わたしはジャガイモを手に取りパリンと噛みくだく。サクッとした後に、じんわりと感じる油と塩み。そのあとにほのかな野菜素材の味。このジャンキーな感じ堪らない。

たまにはファーストフードとか、お菓子食べたいよね。
ああ、自家製ポテチ最高~。

わたしは何も食べず、一人で隅でムスッとしているフェンに声をかけた。
少しずつではあるが、日々わたしの作った食事に賛同してくれる人は増えていたが、フェンは、いまだに料理係の作ったものしか食べてくれない。

今朝のメイン料理はわたしが作ったため、フェン
はお腹いっぱい食べていなかったのわたしは見ていた。

「あの、フェン……」

「無駄に話しかけんなブス」


フンと顔を背けたフェンから、きゅるるるとお腹が鳴ったのを聞き逃さなかった。
わたしは喜々として、もう一つ用意していた籠を取り出した。


「あの、これどうぞ。フェンに食べて貰いたくて作ったの」

広げてみせたのは、サンドイッチだ。

今朝も、わたしが焼いたパンを残されてしまった。ちゃんと主食を食べてないから、お腹がすいているはずだ。