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「うううう、ぐすっ」

い草を布で包んだだけの枕ともいえない枕は、水分を含むとよけいに青臭い香りがした。


「くやしいいいいい」


料理を貶されたのも、あんな風に扱われたのも初めてだった。
ゆづかとして生きていた世界では、写真1枚でみんなに賞賛され、美味しそう、食べたいといった声をたくさん受けてきた。

同じように料理をしているだけなのに、どうしてこうも違うのだろう。
リアという人間にムカつきさえする。
一体どう生きたら、これほどまでに嫌われるのだ。
みんなに認めて貰うには、まだまだ先は長そうだ。

それにしても、いくらリアが悪い奴だったからって、食べ物を粗末にするなんて許せない。

けっこう捏ねる作業って力を使うんだぞ。
300人前の麺を捏ねたのに。
せめてスープ一口でも味わってくれよ。めちゃくちゃ美味しく出来たのに。

今までは自慢のようにネットにアップするだけだったが、今日わたしは、みんなで作る楽しさを知った。
食べてくれる人の顔を、見れる喜びを知った。


「一生懸命作ったのにーーーー!!」

「おい! うるさいぞ!」

「いつまで泣いてんだ黙れ!」


叫ぶと隣の牢屋のおじさんにも、見張り役にも怒られてしまう。


「ぐすっ」


わたしは鼻水をすすって泣くのを堪えた。

絶対ぜったいぜーったい! 見返してやる。畑だって復活させてみせる。
見てなさいよ。わたしには家庭菜園という実績があるんだから。
フェンにわたしのご飯を食べさせて、美味しいって笑わせてみせるわ!
静な闘志を燃やした。

明日は早朝から、カウルに畑に連れて行ってもらう予定だ。
畑は体力を使う。たくさん寝て万全の状態で向かわなければ。
わたしはその晩、悔し泣きをしながら眠りについたのであった。