捏ねたジャガイモを耳たぶ程の堅さに調節すると、丸めて濡れた布をかけた。
生地を休ませる間に、スープの仕上げとジャガイモを茹でるためのお湯を沸かす。

スープが充分にダシを取れていることを確認すると、ザルでこしながら違う鍋に移した。
塩とショウガを入れて味を調節する。


「うん。美味しい」


野菜のダシが優しく喉を通る。薄味のパイタンスープのような、しつこすぎないがしっかりとした風味が舌を喜ばせた。しょうがが鳥の臭みを消してくれ、後味も爽やかだ。上出来だろう。

プーリーにも試食をして貰うと、何も言ってくれなかったが目を見開いたのを見逃さなかった。
わたしはその反応にテンションがあがる。


「俺にも」


後ろカウルが興味ありげに顔を出してきた。
一口飲んでもらうと、「うまい……」とつぶやき、驚いた顔でわたしを見た。

味付けはこれから作る麺に絡むように、少しだけ濃いめにした。

ーーーそう、わたしが作ろうとしているのはモチモチのジャガイモ麺だ。

ホクホクも最高だが、ジャガイモのすばらしさは粉にも麺にも餅にもなることである。


「ふふふふふ、見てなさい。城の皆さんに最高の食事をとどけるわ!」


スープをおたまでかき混ぜながら笑っていると、カウルに「笑い方が怪しすぎて、魔女みたいだぞ」と突っ込まれた。