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やっと話し合いが一段落し、カウル・アフェランドラが自室に戻ると、すでに日付を跨いでいる時間であった。

話し合いはリアの処遇について。
リアの処罰を軽くすることに、自分以外は大反対であった。
随分と説得に時間がかかってしまった。

しかもまだ理解をしてもらえたわけではなく、とりあえず今日はお開きにしようという流れで、結論を先延ばしにしただけだ。


代々、先代の総長の娘を守るのが警備隊の努めでもある。
国政を継ぐのは世襲制ではなく、国で一番最強のものが総長となる。
そして総長は先代の娘という姫を守り、のちのちには婚姻を結び、新たに繁栄させてゆくのがノーティ・ワンの流れであった。


リアが産まれた時、国は大盛り上がりであった。
この国では珍しい、金の髪の娘であったからだ。
金の髪の者は国を繁栄に導き、人々に幸運をもたらす女神だと言う伝承がある。

リアは容姿も秀でて美しく、ラジとフェンと三人、俺達が警備候補生だった時から、いずれはこの人を守る男になるのだと思いながら鍛練してきた。

しかしリアはその美しさゆえ甘やかされたからか、女神だともてはやされたからか、大層歪んで成長した。
ただ我が儘だけならゆるされたかもしれないが、リアは国を破滅に導く破壊者であった。
国の誰しもが、裏切られた気持ちになった。

だから、みんなの気持ちはよくわかる。
いきなりまたおかしな事を言い出して、俺達をこけにしているのだと思うのはあたりまえだ。


ーーーーーしかし。


リアは常に刺々しい雰囲気をはなち、人々を見下していた。
だが、別人だと言い出した彼女は、まったく別物のオーラをだしていた。見た目はリアそのもの、しかし目つきも喋り方も全然違ったのだ。

そんな彼女を処罰することに、俺は躊躇していた。