「こっ心が入れ替わったんです! うわっ……いだっ!! だから、もう悪いことなんて…っっ。あっ! 痛っ! 皆さんに尽くして信頼を取り戻せるようにがんばりますからああああ!!」

観客達が「特攻! 行けー!」と盛り上がりを見せ、ラジが「っしゃあ!」と声をあげた。

よっしゃあじゃないよ。
気合いなんか入れなくていいから。トッコーってなに?!
ソウチョウ、トッコーって、もしかして総長と特攻、暴走族ってやつですか?!


「きゃああああ! カウル! 助けっ…助けてえ!」

わたしはとっさに総長さんの名前を叫んだ。

「総長に媚びやがって!」と声が聞こえ、性悪だの根性なしだの罵倒されたが、そんなことはどうでもいい。
とりあえずこの痛みから救って。

「わっ! タイム!! カウル! たすけっ……ぶっ痛っ! カウル! カウルーーー!!!」


小石が皮膚を傷つける。
豊満な胸がもげて無くなりそうだ。引きずられながらわーわー叫んでいると、「待て」と声がかかった。


「カウル! なんで止めるんだよ!」

ラジが怒る。周りからもブーイングが起こった。


「待て、やはり様子が変だ。目つきも喋り方も全然違う。本当に演技なのか?」

「クソ女だけど、頭はそれなりにキレたからな。全部作戦だろ」

「ーーだが……」

「カウルは先代に、娘を頼むって言われていたから気にしてるのかもしんねーけど、リアに処罰を下すのは、ノーティ・ワン幹部達の総意だったろ。
国民だって、自分達が飢えに苦しむのも、隣国との貿易が上手くいかなくなって仕事を無くしたのも、みんなリアのせいだって気付いてるさ!」

「総長自ら決定を覆すのかよ」