「ノーティ・ワンって、なんですか?この都市の名前でしょうか。それとも国?」

そういえばみんな日本語をしゃべってる。
死後の世界は、自動的に共通語になるのかな。

「はああ?! いい加減にしろリア!! 自国の名前まで忘れたふりとは俺達を侮辱してるのか!お前は心までも敵国に売ったのか?!」


リア…? もしかしてそれは、わたしの名前なのだろうか。死ぬと戒名のように名前が変わるってこと?
わけがわからない。

「え、ええと、ごめんなさい。違うんです。なにもわからなくて…その、リアっていうのはわたしの事で合ってますか…」

周りを見渡しながら聞くと、みんなは忌々しそうに歯をぎりぎりとさせた。

「てめぇ! いくら姫だからっていつまでも調子にのりやがって!! バカにしすぎだ! 総長! もう俺我慢できねぇっすよ!」


後ろのほうの男がいきりたって飛び出そうとしたが、カウルが腕を伸ばして制止させた。ソウチョウってなんだ?


「リア・デルフィニウムだ」

「ーーは? はい?」

「お前の名前は、リア・デルフィニウムじゃないのか」

「ちょっ総長!! 何言ってんすか! 優しくしてやる必要なんてないっす! この女は頭が変になったフリをして、この場をなんとか回避できればいいと思ってるだけなんすよ!」

今にも飛びかかって来そうなほどの殺気をむけられた。この場にいるみんなが、そんな雰囲気だった。