勢いよく口を塞がれた拍子に、唇を噛んだ。血が滲んで、ヒリヒリと痛んだ。
口を塞いだ手は、遠慮無く力を込める。
頬骨がミシッと呻る。カウルにほぐして貰ったのと大違いだ。
「んーー!」
「やっぱり生きていやがったな。なんだよ。もう俺は用済みか? しばらく連絡が取れないと思ったら、やっぱり自国に寝返ったってわけか」
寝返った?
そういえば、リアは敵国の男と通じていたという話を聞いた気がする。
ノーティ・ワンの人間では無い?
白とも銀とも取れる明るい色の髪が、月を反射して光る。
腰まで伸びる長い髪を、1本に括っていた。
う、うわー。
これほどまでに美しい男は見たことがない。神か。
堀が深く鼻が高い。彫刻のようだ。
まつげも銀だ……
あまりの美しさに固まっていると、どうしたと笑われた。
とりあえず顎が砕けそうなので離してもらいたい。
モゴモゴしていると、「叫んだら殺すぞ」と笑顔で凄まれ、必死に頷いた。
こんなに美人なのに、この人もヤンキーなのか。
ゆっくりと開放された顔を両手で包む。昨日から顔をマッサージしすぎだ。
「えっと、どちら様……ですか?」
口は開放されたが、体の拘束は解いてくれない。
男は不敵に笑う。
「リア、連絡を絶った言い訳にしてはみっともないな。処刑されるとの知らせは受けていたが、おめおめと生き延びていたのは知っていたぞ。おまえもしぶといやつだよな。
処刑を逃れた条件はなんだ? 俺達の情報でも売ったか」
「えー……ええと、城での奉仕作業だけど」
「は?」
「奉仕作業っていうのは、城の掃除とか畑仕事とか……」
「そんなこと聞いてねぇ。俺達を売ったのかって聞いてんだよ」
ふざけてんじゃねぇと、ドスがきいた物言いになる。
こわいぞ。美人が怒ると迫力増し増しだからやめて。
口を塞いだ手は、遠慮無く力を込める。
頬骨がミシッと呻る。カウルにほぐして貰ったのと大違いだ。
「んーー!」
「やっぱり生きていやがったな。なんだよ。もう俺は用済みか? しばらく連絡が取れないと思ったら、やっぱり自国に寝返ったってわけか」
寝返った?
そういえば、リアは敵国の男と通じていたという話を聞いた気がする。
ノーティ・ワンの人間では無い?
白とも銀とも取れる明るい色の髪が、月を反射して光る。
腰まで伸びる長い髪を、1本に括っていた。
う、うわー。
これほどまでに美しい男は見たことがない。神か。
堀が深く鼻が高い。彫刻のようだ。
まつげも銀だ……
あまりの美しさに固まっていると、どうしたと笑われた。
とりあえず顎が砕けそうなので離してもらいたい。
モゴモゴしていると、「叫んだら殺すぞ」と笑顔で凄まれ、必死に頷いた。
こんなに美人なのに、この人もヤンキーなのか。
ゆっくりと開放された顔を両手で包む。昨日から顔をマッサージしすぎだ。
「えっと、どちら様……ですか?」
口は開放されたが、体の拘束は解いてくれない。
男は不敵に笑う。
「リア、連絡を絶った言い訳にしてはみっともないな。処刑されるとの知らせは受けていたが、おめおめと生き延びていたのは知っていたぞ。おまえもしぶといやつだよな。
処刑を逃れた条件はなんだ? 俺達の情報でも売ったか」
「えー……ええと、城での奉仕作業だけど」
「は?」
「奉仕作業っていうのは、城の掃除とか畑仕事とか……」
「そんなこと聞いてねぇ。俺達を売ったのかって聞いてんだよ」
ふざけてんじゃねぇと、ドスがきいた物言いになる。
こわいぞ。美人が怒ると迫力増し増しだからやめて。



