お昼に時間が空きそうだったから
ナミに連絡してみた

 「今日のお昼はどんな予定?
  いつも突然でごめんね」

「あいてるよ!」

直ぐ返事がきた
嬉しいな

 「じゃあいつもの場所まで車で
  迎えにいくね」

「はーい 大好き🖤」

 「大好き🖤」

珍しい
ハートはよくあるが大好きと入れてくるのは
2回目くらいではないか?

緩んだ顔を正してメイク室に戻る

お昼に車で合流するとナミの顔の
様子が違った
よく見ると目と頬が真っ赤だ!!

 「どうしたの??何かあった?
  顔も目もすごい腫れてるじゃん!
  これで仕事してたの?」

「ふふふふ いっぱい聞くね〜
 大丈夫だよ」

 「何なに?誰かに叩かれた?
  また記者がきた?」

「それはない!大丈夫!」
「ちょっと気合い入れるのに
 顔叩いちゃったら
 思ったより腫れちゃった 笑」

 「え!なにー?そんな気合入れる事
  あったの?何でも話して?」

ナミは仕事の話はあまりしない
社長は当然一人だし孤独な仕事だと思う

僕にはわからない難しい事もたくさんあると思う

たまに考え事をして、
全く周りが見えなくなって
るのを見かけたことがある

相当な重圧を抱えているだろうと
胸が痛くなるし、
尊敬の念が深まった


とはいっても、本人が話したくないのに
無理に話させるのは良くないから、
ある程度聞いたらそっとしておくのだが、、、

今日のは見逃せない!

おたふく風邪みたいに両頬が真っ赤で
パンパンだ!

しかも相当泣いたと思われるこの目

大きくて綺麗なアーモンドアイが
ピスタチオの割れ目くらいの
隙間しか開いていない

相当な事があったに違いない

何食べる?ってニコニコしている姿が
痛々しい

そっと抱きしめる

 「無理しなくていいよ、
  一人になりたい?」

 「いつも僕の都合でごめんね。
  辛い事があったんだよね。」


抱きしめた肩が震えている
声を出さずに泣いているのだろう

背中をさする
頭を撫でる
髪を撫でる

鼻水をすする音とひきつる声が
聞こえてきた
パクさんがと言っている

肩が上下に激しく揺れて声を出して
泣き出した

その一言で大体何があったかわかった

「パクさんが…
 リークしたって…

 今日会社を辞めることになった」


 「パクさん、
  大事な人だったんだよね?」

「ずっと二人でやってきたの
 彼が韓国で初めての
 パートナーだったから…」

「でも私がいけなかったのかもしれない」

 「ナミがいけない事なんてないでしょ?
  リークは裏切り行為だよ
  パクさんが悪いことしたんだ」

「でも…でも…」

 「でも悪い事をさせたのは
  私かもしれない?って思ってる?」

「え?」

 「パクさんはナミの事が
  好きだったから、
  今回の騒動になったと思ってる?」

「え?知ってたの?」

 「わかったのはごく最近だけどね、
  何で記者がナミに行き着いたか
  知りたくて調べてもらったんだ」
 
 「ナミの大切な人だと思って黙ってた」

「そうなの?」

 「大変だったね、辛かったね」

また泣き出した

子供みたいに身体全体で一生懸命に
泣いている
不謹慎だが、愛しくてたまらない

強く抱きしめる
目が潰れて前が見えなくなるよって
言ったらちょっと笑ってくれた

 「大丈夫 きっと乗り越えられる」

 「心配ないよ」

背中をトントンしながら繰り返す

「うん、そう思う」

 「お、調子出てきたね!
  僕もついてるから大丈夫だよ」

「ありがとう。最強のサポーターだね。」



「パクさんの件ごめんなさい
 ユジュンの会社にもすごい迷惑
 かけちゃった」

 「問題ないよ」
 「二人の写真はないからただの
  勘違いって事になってる」

「本当にありがとう」

ナミが僕の首に腕を回し抱きつく
もう一度ありがとうと呟いた


食欲がないというので
知り合いのマッサージ店に行って
マッサージと、
目と顔を冷やしてもらう事にした


ちょっとでもこの腫れを
落ち着かせないと、
さすがにこんな顔の社長やばいだろ 笑


本当は僕の家に連れ帰ってヨシヨシして
箱にでも入れておきたいが、

こんな事があとでも午後も
絶対仕事すると言って聞かない
最強のオンナだから仕方ない

大好きな人 孤高の戦士

どうしようもなく愛してる