建物を出る前から見える人垣と無数の フラッシュ

怖くなり俯く

彼が肩をだきコートを頭からかけてくれる

出口はここしかない

出るしかないのだ




数時間前、3週間ぶりに二人で外食をした
中心地から離れている鍋料理のお店
別々に入店し、スタッフさんも一緒

食事中に別の部屋にいたマネージャーから連絡あり
外に記者が来ているとのこと


こんなピンポイントに狙われるのは
予定を知っている人が情報を流しているからに違いない

今日の予定と場所を知っているのは、、、
パクさんだけだ
胸騒ぎがした


急いで食事を済ませ帰ることにした

私はユジュンとは別に出ると申し出たが
彼はそんな危ない事はしたくないの
一点張り

僕が守るから隣を歩いて欲しいと
懇願された

私は会社の事を思った

私がこんな写真を撮られたら
なんて思うだろうか

恥ずかしいと思うだろう
仕事の成果以外で有名になったら
皆んながかわいそう
そんな思いをさせたくない

でもユジュンも傷つけたくない

正直に伝え
彼は理解してくれた

結果

私は頭からフードとコートを被り、
彼がエスコートして車に乗る
絶対顔は写真に撮られないようにする

マスクとサングラスフードとコートで
男か女かも分からないくらいだ

記者だけでなく素人のカメラにも
気をつけなければならない

とにかくユジュンを信じて素早く外に出るだけ

気づいた時より人が増えている

ファンだけでなく集まってくる人が増えて
物々しい雰囲気になっている


人影が見えたようで出る前からフラッシュをたかれる
一人が撮り始めると一斉にフラッシュの嵐になる

怖かった

斜め下を向いてコートをぎゅっと掴んでユジュンと外に出た
私の肩を強くだき進む方向を誘導してくれる

力強い腕
こんな状況なのにキュンとしている自分がいる

ユジュンさん!お付き合いしているんですか?

お隣の女性は誰ですか?

噂になった人ですか?

突然大勢の人が声を発し、フラッシュの音と混ざって
耳が詰まるような感覚に陥る

気づくとすぐ隣にカメラがあり
驚いて転んでしまった