「なぁ、あれはどういう事だよ!」

天悠(てんゆう)は佑典(ゆうすけ)の胸ぐらを掴んだ。

「お前、喜々良(ききら)が好きなんだろ!
それになんだよ、喜々良が言ってた健悟(けんご)って男。
喜々良は浮気をしていたのか⋯?」

佑典は苦しさから咳き込む。

「あ、ごめん」

天悠が手を離す。

「⋯俺がお前にききちゃんを紹介したのは、少しでもききちゃんが、見置(みおき)を⋯健悟を忘れてくれたらいいなって思って⋯。
俺は今でもききちゃんが好きだよ」

「ふざけんな!
俺、完全に都合のいい男じゃねぇか!
喜々良とも別れるからな!」

天悠のあまりの怒りに、佑典は何も言えなかった。