「はい」

図書館の近くのベンチに座り、佑典は喜々良におにぎりとお茶を渡す。

図書館を出た途端、喜々良のお腹が鳴り、恥ずかしい思いをしたのだ。

「ありがとうございます」

恥ずかしさから頬を真っ赤にしている喜々良に、

「気にしなくていいよ。
誰だって腹減るし」

佑典は優しい言葉を掛けてくれる。

「朝ご飯、食べてなかったの?」

何気なく佑典は聞く。

「⋯用意してなかったから」

小さな声で、喜々良は答える。

「お母さん、ご飯用意してくれないの?」

驚く佑典に、何故か喜々良はハッとして、

「なんでもないです」

今にも泣きそうな笑顔を見せた。

佑典は思わず、喜々良を抱きしめた。

それを離れた場所から、健悟が見ていた…。

「アイツら、付き合うのかな⋯」

口に出した瞬間、イラついてしまい、健悟は足元にあった石を蹴った‐。