裕貴
「…来ない。」
来ない。花奈からの返事が来ない。
いつもどれだけ遅くても半日以内に帰ってきていた返信。金曜日の夜送ってから帰ってこなくて今もう日曜日の昼…
俺なんか余計なこと言ったか?と何度もトーク履歴を見るけど、特にそんな様子はない。
強行手段で電話もかけてみるが、全くつながらない。
何だこれは。明日学校に行けば謎は解けるんだけど‥
「おはよ…」
「あ、おはよっ」
…何も変わらない花奈。
「ねぇ花奈、昨日…」
「あ!ごめんもしかして何かメッセージ送ってくれてた?」
え?
「うん、全然返信来なかったからさ?」
「ごめんごめん、金曜日に携帯変えてさ、データーが全く移らなくて…
まだ前のアカウント入れられてないからしばらく返事できないかも。」
あぁ…そういうことか!怒られてるとかじゃなくってよかった。
でもそれなら、
「俺設定してあげよっか?」
「…そっか口野君器械強かったね!?
えっ、やって欲しい!お願いします」
って目の前にスマホを出される。
「ふはっ、今なの?
時間かかるかもだし、放課後でもいい?」
「えぇ…放課後に二人で居って彼女さんに恨まれるとか嫌やもん…」
「大丈夫だって。彼女の大学遠いし、それに…」
「それに?」
「いや、なんでもないよ!じゃあ放課後、どっかカフェでも行って設定してあげる」
「…うん、ありがとう!」
この笑顔に、何人もの男がやられてきたであろうか…。
まぁ、俺も最初やられたうちの一人だけど。



