花奈
靴紐を結んで立ち上がった瞬間…後ろからお腹に回された腕にびっくりした。
えっ、何…?
「ねぇ口野君、離して…?」
「嫌。もうちょっとだけ。」
ここが人通りの少ないっていう事、夜でもし見られても誰かわからないこと。
…少し心地よくて、もう少しって思ってしまったこと。
だから振りほどけなかったんだと思う。
「よし、行こっか。」
もう当たり前のように取られた手は、どちらか分らない手汗が感じられた。
気まずならないようになのか、他愛も無い話を掛けてくれる。
私の家まで後10分程になった時、
「ちょっと話そうよ」
という事で、静かな公園のベンチに座った。



