「花奈〜」
真面目な彼女のことだし、約束よりも早く来ているだろうなと思って、10分前に来てみたけど
既に待ち合わせ場所に着いていた。
「早いね?」
「電車1本間違えた…」
「え〜俺に早く会いたかったからってことでいいじゃん」
「…なにそれ。いくよっ」
初めて見る私服は、想像以上に可愛くて。
スタスタと前を歩いていくかなの隣に引っ付いて、目的地に向かう。
「今日映画館空き空きだね、」
「本当だ、ほぼ貸し切りじゃん!」
特等席を取れた俺らの周りは、数人しか居ない。
「花奈こういう映画好きだったんだね?」
「ん〜こういう系統というよりは、映画自体が好きだからいろんなの見るよ。」
ホラーと恋愛とコメディーが混ざりあった人気映画。俺も気になってたから嬉しい。
「あ、始まるよっ」
上映中所々出てくる脅かし要素に、時折ビクッとする花奈が異常にかわいい。
「…えっ、」
知らないフリをして左にある小さい手をとると、聞こえるか聞こえないかくらいの声が聞こえた。
指を絡めるように更に握ると、不思議そうにしながらも、映画の方へ向き直った。
花奈の手…ちっさいくせに凄い安心感。



