「日が昇るのが遅くてさ、それで帰るのも遅くなっちゃった」

「当たり前だろ、自転が遅いんだから。どうしても、っていうときは必ず連絡しなさい」

「はーい、もう心配させたりしないから」

 リビングのテレビからは昨日アナウンスされた首相のメッセージが流れている。あまり興味はないけれどちら見する。いまさら何をアナウンスするんだろう?

「皆さん、政府は現在この問題の解決方法を模索中です。安心して危機に備えてください」

……何いってるの、この人。あかねはその能天気に聞こえるスピーチに首を傾げる。

「ねえ、お父さん、ほんとうに地球は元に戻るの?」

 すると目をそらす父。そして「戻るかはわからないが、お前は死なないから、絶対犯罪には巻き込まれるなよと」という。それは慰めではなく、確信があるかのように聞こえた。

「えっ、ほんとうに大丈夫なの?」

「ああ、大丈夫だ。父さんも、母さんも、そしてお前も生きるんだよ、あかね」

 この期に及んでそういう父親の言葉にあかねは違和感を覚えつつも、怒られた身だけに、それ以上深くは尋ねることができない。

 そこで母があかねに話しかける。