「あたしね、自分のこと好きじゃなかったけど、しおんくんと一緒ならきっと変わっていけると思う。だからこの地上で誰にも負けない恋を、しおんくんとさせてください」

 潤んだ瞳でしおんの顔を見上げるあかねはたしかに恋心を抱いた乙女だった。その瞳に誘われるようにしおんは言葉を零す。

「なあ……今から熱くてもいいか」

 するとあかねは吐息のような声で答える。

「こんがり焼いてもらえないかしら、真夏の日差しみたいにね」

 その冗談にしおんはたまらずぎゅっとあかねを抱きしめ、それからお互いのひたいをあわせる。

「いい? 俺は世界が終わるまで、いや、世界が終わっても俺のすべてを懸けて、きみに夢を見させることを誓う」

「あたしも夢が終わるまで、ううん、夢が終わってもしおんくんのことを好きでいたいなと思うよ」

「うわ、あかねがはじめて俺の事好きって言ってくれた」

「愛してる、って言わされたことはあったけどね」

 天才で変人のしおんは至って凡庸な照れ顔を浮かべてからあかねの髪を撫でた。そして頬に手をやりそっと、

 唇を近づけた。

 あかねも頬を赤らめたまま静かにまぶたを閉じて、