灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

 膝まで飲み込む雪の感触をブーツの裏で噛みしめながら進んでゆく。向かった先は代々木公園。都会にありながら広々としたこの公園はあかねのお気に入りで、恋人ができたらいつか一緒に来るんだと心に決めていた場所でもある。

 解放された入り口の門をくぐり抜け、白い息を空に撒き散らしながら公園の奥へと足を進めてゆく。目の前に広がるのは荒野のような雪景色。世界はまっさらな白に塗り潰されている。

 たったひとりになりたかった。胸の中に溜まったやるせない思いを、誰もいないこの場所で思い切り叫びたかった。そのために雪の中、ここまで足を運んだのだ。

 あかねは公園の広場の真ん中まで進むと雪の上に跪き、天を仰いだ。そして何のためらいもなく叫ぶ。